汽水湖の水環境を探る

深部高塩分水層の増加に伴い水質悪化が懸念される汽水湖について、塩水層の供給メカニズムの把握に向けた、「海から湖への河川塩水遡上過程」,「侵入塩水の深部塩水層への輸送過程」の定量的評価を目指し,研究室で開発した3次元流動モデル(TITech-WARM)を用いて海から湖まで一連の解析を行いました.

太平洋から湖までの河道部の解析結果

色は塩分を表しており,赤色は海水,青色は淡水を表す.上段のグラフは湖の水位(青線)と河口水位(赤線)を表しており,満潮などにより河口水位が湖の水位より高くなると海水が河道内部を湖に向かい遡上していく.3次元計算により中流域に存在する浅瀬による塩水の希釈の様子を検討することができる.

河から湖への塩水侵入解析結果

海から河を遡上した塩水が,湖の深部に向かい流下する過程の解析を行った結果です.右上側の河から塩水が侵入し,湖深部に向けて斜面を流れ降っていきます.斜面上の塩水の流れは密度傾斜プルームとなり,その流下過程において周辺の淡水とどの程度希釈されるのかは,湖深部における最終的な塩水の貯留量を規定する重要な要因となります.