いままでの研究において開発したシミュレータを紹介します.
水中気泡の運動解析
貯水池では曝気装置と呼ばれる装置が用いられることがあります.この装置では,水底から気泡を放出し,浮上する気泡により水を上方へ押し上げることで,水の上下混合を促進します.放出された気泡が周辺の水をどの程度押し上げることができるかを定量的に評価するため,気泡の浮上解析を行いました.気泡は表面張力の影響を強く受けることから,この研究では3次元流動解析に加え,気泡表面形状をLevel Set法により追跡し,曲率に応じた表面張力を計算に取り入れています.
氷河からの岩塊崩落の解析
スイスへの留学から帰国した学生が主体となって実施したものです.地球温暖化による気温上昇により,氷河に埋まっていた岩塊が崩落する事故が増加しています.この研究では氷河の氷への大気からの熱伝導を計算するとともに,氷から液体の水へ溶けていく過程も同時に計算しています.氷(緑色)が溶けて水(青色)となり,岩塊(赤色)と氷の噛み合わせがなくなると崩落していきます.
液状化地盤の流動解析
地震動により液状化した地盤を非ニュートン流体としてモデル化し,海岸線に立つ構造物の倒壊を解析しました.
DEM法による解析
個別要素法(DEM)と呼ばれる手法により,粒子群の運動について解析した事例です.下の研究ではオガクズにより汚物を分解するバイオトイレについて,オガクズと汚物を数百万個の多数の粒子で表現し,ロータによる撹拌過程を解析しています.
下に示す研究事例では飽和した地盤に対する締め固めを計算しています.DEM法により土壌粒子を表現し,地下水の挙動の流体解析と組み合わせています.