河川・湖沼における流れの共通プラットフォーム
河川や湖沼における流れを3次元的に解析可能なシミュレーションモデルとして研究室では独自モデルを開発し,実際の水環境研究に適用しています.
Tokyo Institute of Technology ー WAter Reservoir Model (TITech-WARM)と名付けた本モデルでは,蛇行する河川や山間部に設置された貯水池など,複雑な地形を表現し,また水環境における流れに特徴的な水密度の不連続的境界の動的変化を正確に計算するため,高精度移流計算法のCIP法とSoroban格子と呼ばれる新たな計算格子系を用いることで,高精度な計算を実現しています.また,3次元計算に伴い解析時間は増加しますが,計算機クラスターを用いた並列計算を用いて従来よりも短時間での解析を実現しています.
流速の時空間的変動を計算する他,気温・日射など気象条件による水温変化,乱流の状況,塩分など密度偏差の計算が骨格部分として組み込まれています.様々な流域における研究では,本モデルを共通のプラットフォームとして使用し,それぞれの水域と研究課題の特徴に応じて様々な拡張を施して使用します.
適用研究の例
- 利根川下流汽水域における塩水遡上と貧酸素水塊の発生について
- 東日本大震災による地盤沈下が新北上川下流域の塩水遡上に与える影響について
- 釜房湖における曝気循環装置を含む湖内流動のモデル化
- 青森県高瀬川中流域の浅瀬が塩水遡上形態に与える影響について
- 小川原湖における塩水傾斜プルームの解析
- 小川原湖東北部の浅瀬が塩水貯留に及ぶす影響と風場の関係について
ほか多数
計算機クラスター
汽水域における塩水くさびのSoroban格子法による解析例(塩水海面に白丸で表された計算格子点が自動的に集中して計算精度を向上させている)
動的適合格子であるSoroban格子法によるセイシュの検証